レンガの家に憧れたとき、最初に目を奪われるのは重厚感のある外観ではないでしょうか。深みのあるレンガ、落ち着いた屋根、印象的な玄関ドア。年月を重ねるほど味わいが増す佇まいは、レンガの家ならではの魅力です。
一方、外観はクラシックなのに室内は白いクロスと明るい床だけでは、玄関を開けた瞬間に雰囲気が途切れることがあります。反対に、濃い色や装飾を増やしすぎると、暗く重たい空間になりかねません。
大切なのは、室内にもレンガを多用することではなく、外観の色や質感を床・壁・建具・照明・家具へ少しずつつなげることです。
この記事では、レンガの家の外観と内装を自然に調和させる考え方を解説します。
レンガの家の内装がちぐはぐに見える原因
レンガの家の内装を考える前に、まずは統一感が失われる原因を知っておきましょう。
高価な素材やおしゃれな設備を選んでも、それぞれの方向性がそろっていなければ、家全体は落ち着かない印象になります。

外観と内装を別々に決めている
外観ではレンガ、屋根、窓に集中し、内装では床やキッチンを別に考えることがあります。
しかし、玄関から見える床、照明、建具までが一つの住まいです。
外観はイングリッシュスタイル、室内だけ無機質なホテルライクという組み合わせでは、それぞれが素敵でも家全体に違和感が生まれる場合があります。
外壁のレンガを選ぶ段階から、玄関を開けた先にどのような空間が続くのかを考えておくことが大切です。
好きな商品を一つずつ選んでいる
床はこの色、ドアはこのデザイン、キッチンはこの面材と、好きなものを個別に選ぶ方法では、完成したときの全体像をつかみにくくなります。
まずは「明るく温かい空間」「落ち着いたクラシック空間」など、目指す雰囲気を決めましょう。
そのうえで、床、壁、建具と面積の大きい部分から選ぶと、色や素材の方向性をそろえやすくなります。
内装は部屋全体のイメージを決め、床など面積の広い部分から考えることが基本です。
海外風の要素を増やしすぎている
アーチ壁、柄クロス、アイアン手すり、シャンデリア、室内レンガ、アンティーク家具。
レンガの家に似合いそうな要素をすべて取り入れると、視線が休まる場所がなくなります。
リビングで室内レンガを使うなら、壁や天井は落ち着かせる。玄関に存在感のある照明を付けるなら、建具や収納はすっきり見せる。
このように、主役と背景を分けることが大切です。
最初にレンガの家の内装テイストを決める
レンガの家に合う内装は一つではありません。
レンガの色、外観デザイン、家族が落ち着く雰囲気によって、目指す方向は変わります。
床材や壁紙を選ぶ前に、まずは内装全体の軸を決めましょう。

重厚感を楽しむクラシックスタイル
深みのあるブラウンの床、木製建具、真鍮色の金物、温かい光の照明を組み合わせるスタイルです。
赤茶系やダークブラウン系のレンガと相性がよく、落ち着きのある住まいになります。
ただし、床・天井・建具・家具をすべて濃色にすると、日中でも暗く感じることがあります。
壁や天井にはアイボリーや淡いベージュを使い、濃い色を床や建具などに絞ると、重厚感と明るさを両立できます。
明るいナチュラルクラシック
オーク系の床、グレージュの壁、木とアイアンを控えめに使うスタイルです。
クラシックな雰囲気を残しながら軽やかに見せられ、木製家具や布張りのソファも自然になじみます。
レンガの家には憧れるものの、室内は明るく開放的にしたい方にも取り入れやすい内装です。
生活用品や家電が置かれた状態でも雰囲気を保ちやすいため、見た目だけでなく日常の暮らしやすさも考えられます。
すっきりとしたモダンクラシック
レンガの伝統的な雰囲気と、直線的でシンプルな内装を組み合わせる方法です。
色数を絞り、装飾を増やしすぎず、素材の質感で上質さをつくります。
グレー系のレンガ、黒い窓枠、オークやウォールナットの床を合わせると、現代的なレンガの家に仕上がります。
クラシックな雰囲気が強くなりすぎることを避けたい場合にも向いています。
レンガの色から床材を選ぶ
床は室内で目に入る面積が大きく、内装の印象を左右します。
レンガの家では、室内の好みだけで床を決めるのではなく、外壁のレンガと並べたときの色温度や明るさまで考えましょう。

赤茶系レンガには温かみのある木を合わせる
赤やオレンジを含むレンガには、オーク、チェリー、ミディアムブラウンなどの木の色がなじみます。
ただし、床まで赤みを強くすると、室内全体が赤茶色に寄りすぎることがあります。
レンガに赤みが強い場合は、床を少し落ち着いたブラウンにするなど、同じ温度感の中で明るさを変えるとまとまります。
レンガと床をまったく同じ色にするのではなく、似た色合いの中で濃淡を付けることがポイントです。
濃い床は採光とのバランスを見る
ウォールナット系などの濃い床は、レンガの重厚感を室内へつなげやすく、高級感も演出できます。
一方で、部屋が狭く見えたり、暗く感じられたりすることもあります。
濃い床を選ぶ場合は、大きな窓で自然光を取り入れる、壁と天井を明るくする、脚の細い家具を選んで床が見える面積を増やすなど、重たく見せない工夫が必要です。
床材の小さなサンプルだけで決めず、実際の施工写真や広いサンプルでも確認しましょう。
明るい床は建具や家具で引き締める
明るいオーク系の床は、室内を広く軽やかに見せます。
ただし、白に近い床と白い壁だけでは、重厚感のある外観とのつながりが弱くなる場合があります。
濃い木の建具、黒や真鍮色の照明、レザー家具などを部分的に加えると、明るさを保ちながらレンガの家らしい深みを残せます。
壁・天井・室内レンガは使いすぎない
外壁がレンガだからといって、室内の壁までレンガで埋める必要はありません。
外観の存在感が強いからこそ、室内には余白を残し、レンガや木の質感が際立つバランスを考えましょう。

壁は温かみのある淡色を基本にする
壁は真っ白よりも、アイボリー、ベージュ、グレージュなど、少し温かみのある色がレンガや木になじみます。
塗り壁調の仕上げを取り入れると、光が均一に反射しすぎず、やわらかな表情をつくれます。
柄のあるクロスを使う場合は、部屋全体ではなく、玄関の正面や寝室の一面など、視線を集めたい場所に絞ると整います。
クロス単体では素敵に見えても、床や建具と並べると柄が強く感じられることがあります。必ず複数のサンプルを並べて確認しましょう。
天井は部屋の広さと高さに合わせる
天井を白や淡い色にすると、光が広がり、室内を高く明るく見せやすくなります。
一方、木目や濃色を取り入れると、落ち着きや重厚感を加えられます。
ただし、天井全体を濃くすると圧迫感が出る場合があります。ダイニング部分だけ木目にする、折り下げ天井にアクセントを付けるなど、範囲を限定する方法も効果的です。
室内レンガは一面に絞る
室内にもレンガを使いたい場合は、テレビ背面、キッチン背面、玄関、薪ストーブまわりなど、家の中で主役にしたい場所を選びます。
目に入りやすい一面に集中させたほうが、素材の魅力が伝わります。
ニッチや柱の一部だけにレンガを使い、さりげなく外観とのつながりをつくる方法もあります。
アーチ壁は効果の高い場所に絞る
アーチ壁は、直線が中心となる室内にやわらかな表情を加えられます。
玄関とシューズクローク、キッチンとパントリーなど、建具を付けない開口部に取り入れると、洋風の雰囲気を自然に加えられます。
すべての開口部をアーチにすると形の印象が強くなるため、玄関から見える場所など、一、二か所に絞ると上品にまとまります。
建具・窓枠・階段で外観とのつながりをつくる
床や壁が室内の背景だとすれば、建具、窓枠、階段は空間の輪郭をつくる部分です。
ここに外観と共通する色や素材を入れると、レンガの家としての統一感が生まれます。

建具に外観の色を繰り返す
床が明るい場合は建具を少し濃くする、リビングドアだけネイビーや深いグリーンにするなど、外観の玄関ドアや屋根に使った色を室内で繰り返すと自然につながります。
ただし、アクセントカラーを家中のドアに使うと、色の印象が強くなります。
玄関から見えるドアやリビングの入口など、一か所を主役にすると効果的です。
窓枠は室内からの見え方も確認する
レンガの外観では、窓の形や枠の色が建物全体の印象に大きく関わります。
外から見たバランスだけでなく、室内から窓枠がどのように見えるかも確認しましょう。
黒い窓枠は空間を引き締め、モダンクラシックな印象をつくります。白い窓枠は壁になじみ、室内を明るく見せます。木調の窓枠は、床や家具とのつながりをつくりやすい選択です。
階段は大きな家具として考える
リビング階段や吹き抜け階段は、大きな家具と同じくらい存在感があります。
木の踏板と黒いアイアン手すりを組み合わせれば、レンガの重厚感を保ちながら、抜け感のある空間をつくれます。
装飾性の高い手すりを選ぶ場合は、照明や家具をシンプルにするなど、室内全体でバランスを取りましょう。
階段だけを単独で決めず、リビング全体の完成イメージの中で確認することが大切です。
レンガの質感を引き立てる照明計画
レンガの家の雰囲気は、昼と夜で大きく変わります。
照明は部屋を明るくするだけでなく、レンガ、木、塗り壁の凹凸や陰影を見せるための大切な要素です。

光を一か所に集中させない
大きなシーリングライト一つで部屋全体を均一に照らすと、素材の表情が平坦に見えることがあります。
ダウンライト、ペンダントライト、ブラケットライト、間接照明を組み合わせ、必要な場所へ光を分けると、落ち着きのある空間になります。
照明器具だけを先に決めるのではなく、家具の配置まで想定して計画することが重要です。
室内レンガには斜めから光を当てる
室内レンガや塗り壁には、正面から均一に光を当てるより、壁の上部や横から光を当てると凹凸による陰影が生まれます。
テレビ背面のレンガ、玄関のアクセント壁、階段の壁などは、照明の位置によって夜の見え方が変わります。
レンガを使う場所と照明位置を、別々ではなく同時に考えましょう。
光の色を場所によって使い分ける
リビングやダイニングでは、温かみのある光が木やレンガになじみます。
一方、キッチン、洗面、書斎などは作業のしやすさも必要です。
家中を同じ色の光に統一するのではなく、くつろぐ場所と作業する場所で使い分けると、雰囲気と暮らしやすさを両立できます。
家具・カーテンまで含めて内装を完成させる
床、壁、建具が整っていても、入居後に置く家具やカーテンの色がばらばらでは、家全体の統一感は弱くなります。
家具は後から考えるものではなく、内装を構成する一部として早めに検討しましょう。

家具は素材感を意識する
レンガの家には、木目を感じるテーブル、レザーや布張りのソファ、リネン調のカーテンなどがなじみます。
すべてをアンティーク調にせず、シンプルな家具を混ぜても、色と質感がそろっていれば自然にまとまります。
光沢の強い素材を増やしすぎず、木、革、布、アイアンなどの質感を組み合わせると、レンガの家らしい温かみをつくれます。
室内で使う色を三つ程度に整理する
床と木部の色、空間を引き締める黒や濃色、ソファやカーテンに使う布の色など、中心となる色を三つ程度に整理すると家具を選びやすくなります。
クッションや季節の飾りは後から変えられます。
建具や造作家具など簡単に変えられない部分には、長く使いやすい色を選びましょう。
家具の大きさを図面へ入れる
ダイニングテーブルの中心とペンダントライトがずれている、背の高い収納によって照明が隠れるといった問題は、家具を後から決めた場合に起こります。
打ち合わせの段階で、家具のおおよその幅・奥行き・高さを図面に入れ、通路幅、コンセント、照明との関係を確認しておきましょう。
レンガの家の内装で後悔を減らす打ち合わせの順番
内装選びでは、サンプルを一つずつ見るだけでなく、完成した空間をつなげて考えることが重要です。
まず、外観と内装を含めた家全体のテイストを決めます。
次に、レンガ・屋根・窓・玄関ドアの色を確認し、その色を手がかりに床材を選びます。床が決まったら、壁と天井、建具、キッチン、照明、家具の順に組み合わせます。
サンプルは床材だけ、壁紙だけで判断せず、できるだけ同じ場所に並べて自然光と照明の両方で確認しましょう。
小さなサンプルと、広い面へ施工したときでは、色の明るさや柄の強さが異なって見えることがあります。
完成写真を見るときは、自分たちの家具、家電、日用品まで置き換えて考えます。
生活が始まった後も無理なく整えられることが大切です。

まとめ|レンガの家は外から中まで一つの物語として考える
レンガの家の内装を成功させるために、室内まで装飾的にする必要はありません。
大切なのは、外観のレンガが持つ色、質感、重厚感を、床・壁・建具・照明・家具へ少しずつ受け渡すことです。
最初に内装テイストを決め、床など面積の大きい部分から選ぶ。室内レンガやアーチ壁は見せ場に絞り、照明で素材の陰影を引き出す。さらに家具やカーテンまで同じ方向性で考えることで、玄関を開けた瞬間から家全体につながりが生まれます。
外観と内装を別々に考えず、一つの物語として組み立てること。
それが、年月を重ねても愛着を持てるレンガの家をつくるための基本です。

レンガの家専門 SEISYO三重支店
SEISYO三重支店では、レンガの家やクラシック住宅を中心に、完全自由設計の家づくりを行っています。
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著者プロフィール
中島 盛夫
株式会社盛匠代表取締役[保有資格:二級建築士、宅地建物取引士]
大工としてひたむきに走り続けていた26歳のある日、お客様の娘様から頂いた現場での一言、 「良い家を作ってくれてありがとう」その言葉に建築への想いが膨らんでいく気持ちに気づいた私は、 「家づくりの最初から最後まで、じっくりをお客様と対話して、一生のお付き合いがしたい」と感じ、SEISYOを立ち上げました。