家は採用する仕様や設備によって「同じ広さの家なのに、なぜ税金がこんなに違うの?」ということがあります。
固定資産税は毎年支払う税金の中でも負担が大きく、家づくりやリフォームを検討される方にとって気になるポイントです。しかし、その仕組みや評価の基準は意外と知られていません。
実は、家の構造や仕上げ、設備の内容によって、評価額が大きく変わることがあります。建て方ひとつで、数万円単位の差が生まれることもあるのです。
注文住宅のポイントは「性能×デザイン×暮らしの心地よさ」を軸に、見た目の美しさと合理性を両立する住まい作ることだと考えております。
今回の記事では、法律や自治体の基準をもとに「固定資産税が上がる家・上がらない家の違い」を解説し、長く快適に暮らせる家づくりのヒントをお伝えします。
固定資産税の基本を正しく理解する
家づくりを考える際、まず知っておきたいのが「そもそも固定資産税とはどのように決まるのか」という基本です。
税率や課税の仕組みを理解することで、後に紹介する“上がる家・上がらない家”の違いもスムーズに理解できるようになります。
ここでは、評価の考え方や算定の流れを整理してみましょう。
課税の仕組みと税率の基礎
固定資産税は、土地や建物といった「固定資産」を所有している人に対して毎年課される地方税です。
課税主体は市区町村で、税率は標準で1.4%。これに加えて、都市計画区域内にある場合は都市計画税(上限0.3%)がかかります。納税義務者は毎年1月1日時点の所有者です。
評価のもととなるのは「再建築価格方式」と呼ばれる考え方で、建物を今同じように建て直した場合にいくらかかるかを基準に算出します。これをもとに、建物の構造や材料、設備のグレードなどを細かく採点し、最終的な評価額が決まります。
なお、固定資産税の評価額は3年ごとに見直される仕組みです。
評価額を決める“家屋評価”とは
家屋の評価は、建物全体を「構造」「仕上げ」「設備」の3つに分け、それぞれに評点(ポイント)をつけて算出されます。
たとえば、外壁の材質、屋根の形状、キッチンや浴室の仕様などが評価項目です。
各自治体は国の基準に基づいて「家屋評価の手引き」を作成しており、これに沿って職員が新築時の家屋調査を行います。
評価のルールは全国共通ではなく、自治体によって若干の違いがある点も理解しておきましょう。
固定資産税が上がる家の特徴
評価額が上がる家には、いくつかの共通点があります。それは、家のデザインや設備に“上質さ”を求めた結果、再建築コストが高く見積もられるという点です。
ここからは、固定資産税が上がりやすい住宅の特徴を、設備・構造の観点から具体的に見ていきましょう。
高グレードの設備・仕上げ材を多用している
評価額を押し上げる要因のひとつが、設備や内装のグレードです。
たとえば、キッチンの場合は間口が広いシステムキッチンや高級素材の天板を採用すると、評価が上がる傾向にあります。
浴室でもユニットバスのサイズが大きいほど、再建築コストが高く評価されます。また、床材に大理石や無垢材など高価な素材を使用している場合も、評価が上がる要因となります。
付加設備が多い家(評価対象が増える)
床暖房や浴室乾燥機、ビルトイン食洗機など、住宅設備が多いほど家屋評価は上がります。特に、壁や床と一体化して設置される設備は「建物の一部」とみなされるため、課税対象です。
また、トイレの独立手洗い器や造作カウンター洗面なども、器具の数が増える分だけ評価が高くなります。
利便性を高める設備ほど税額も上がる傾向にある点を理解しておきましょう。
構造的に複雑・豪華なデザイン
外観の形状や構造も評価に影響します。
L字型やコの字型など外壁面積が増える形は、再建築コストが上がるため評価額も高くなります。また、三方を壁で囲ったビルトインガレージは「家屋」として課税対象になります。
見た目が立派で豪華な家ほど、固定資産税が上がる傾向があるのはこのためです。
固定資産税が上がらない(または抑えやすい)家の特徴
一方で、設計や素材の選び方を工夫することで、固定資産税の評価を抑えることができます。
ここでは、デザインや快適性を損なうことなく、上手に税負担を軽減するための考え方を紹介します。
シンプルな形状・標準設備を基本とした設計
評価額を抑えるには、無駄のないシンプルな設計が効果的です。
・屋根形状を単純にする
・外壁を凹凸の少ない構造にする
このようにすることで、建築コストを抑えつつ評価額も下げることができます。設備も標準仕様を選ぶことで、快適さを維持しながら税金をコントロールできます。
注文住宅では、機能とデザインを両立しながらも過剰な装飾を避ける設計がお勧めです。
取り外し可能な設備や外構を上手に活用
固定資産税の評価対象は「建物に固定された設備」です。そのため、簡易的に設置できる物置や取り外し可能なウッドデッキ、屋根と柱だけのカーポートなどは、家屋の評価に含まれません。
特にカーポートは、三方以上を壁で囲っていない限り、課税対象外とされます。
外構を工夫することで、快適さを保ちながら税負担を抑えることができます。
メンテナンス計画を考えた“長期コスト設計”
固定資産税そのものを下げることはできなくても、長期的な視点での「維持費削減」は大きなポイントです。
外壁や屋根の素材を長寿命のものにすることで、再塗装や修繕の頻度を減らし、結果的に資産価値を安定させることができます。
初期投資だけでなく、10年・20年後を見据えた設計こそ、賢い家づくりにつながります。
新築住宅の固定資産税軽減措置
家を新しく建てる際には、一定期間の税負担が軽減される制度があります。これを知らないままにしておくと、本来受けられるはずの減額を逃してしまうことになります。
ここでは、制度の概要と注意点を確認しておきましょう。
3年間(耐火構造は5年間)の1/2減額
新築住宅には、一定期間固定資産税が軽減される制度があります。
一般的な木造住宅では3年間、耐火または準耐火構造の住宅では5年間、家屋部分の固定資産税が1/2に軽減されます。さらに、長期優良住宅として認定を受けている場合は、それぞれの期間が2年延長されます。
申請しないと適用されない場合も
この軽減措置を受けるためには、自治体への申請が必要な場合があります。特に長期優良住宅の場合は、認定書類の提出を忘れると減額が受けられないことになります。
家が完成したら、必ず自治体から届く「家屋調査通知書」を確認し、必要書類を期限内に提出しましょう。
土地の固定資産税も見逃せない
建物だけでなく、土地にも優遇制度があります。
土地の面積や用途区分によって軽減の割合が異なるため、家づくりとセットで理解しておくことが大切です。
住宅用地の特例(200㎡まで1/6)
住宅用地のうち200㎡以下の部分は、固定資産税が1/6、都市計画税が1/3に軽減されます。200㎡を超える部分についても、それぞれ1/3と2/3に減額されます。
敷地を広く取りすぎると優遇の割合が下がるため、土地選びの段階から税金面を意識することが大切です。
固定資産税で“誤解されやすいポイント”
最後に、インターネット上でよく見かける固定資産税の誤解を整理しておきましょう。
間違った情報を鵜呑みにすると、思わぬ負担や手続きミスにつながることもあります。
「キッチンの長さで税金が上がる」は誤解
インターネット上で「キッチンが2550mmを超えると税金が上がる」といった情報を見かけますが、全国一律のルールではありません。正確には、各自治体が定める「家屋評価の手引き」に基づき、流し台の間口寸法によって係数補正がかかる仕組みです。
つまり、地域によって加点の有無や幅が異なるため、「お住まいの自治体で確認する」のが正確な判断です。
太陽光発電・カーポートの扱いはケースで異なる
太陽光発電パネルは、屋根材と一体化している場合は家屋の一部として課税されますが、後付けで設置された屋根置き型は非課税です。また、カーポートは屋根と柱だけなら家屋に該当しませんが、三方を囲う車庫タイプは課税対象になります。
どちらも構造によって扱いが異なるため、設計時に確認することが安心です。
まとめ
固定資産税は「広さ」だけでなく、素材や設備、構造によっても評価が変わる税金です。
高級な設備や複雑な形状の家はどうしても評価が高くなってしまいますが、設計の工夫で無駄な課税を避けることができます。美しいデザインと税制面のバランスを取りながら、長く安心して暮らせる住まいを考えることが大切です。
注文住宅は、建築の専門知識に基づき、見た目の美しさとコストバランスの取れた家づくり、そして固定資産税の仕組みを理解し、ご家族様にとって快適で賢い暮らしを実現する一歩を踏み出しましょう。
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著者プロフィール
中島 盛夫
株式会社盛匠代表取締役[保有資格:二級建築士、宅地建物取引士]
大工としてひたむきに走り続けていた26歳のある日、お客様の娘様から頂いた現場での一言、 「良い家を作ってくれてありがとう」その言葉に建築への想いが膨らんでいく気持ちに気づいた私は、 「家づくりの最初から最後まで、じっくりをお客様と対話して、一生のお付き合いがしたい」と感じ、SEISYOを立ち上げました。