プロが教える!クラシックリノベーションで後悔しないための完全ガイド

長い年月を経て、深みを増すレンガの家。
その重厚であたたかみのある佇まいは、時代を超えても色あせることがありません。ですが、年月とともに、設備の老朽化や暮らしの変化に戸惑う場面も増えてくるものです。「今の住まいを大切にしながら、これからの暮らしにも寄り添ってくれる家にしたい」そんな想いをお持ちの方にこそ、クラシックな雰囲気を活かしたリノベーションという選択肢があります。
本記事では、レンガ住宅の魅力をそのままに、次の50年を快適に過ごすためのリノベーションポイントをわかりやすくご紹介します。素材選びの工夫から、間取りの整え方、断熱・耐震性能のアップまで──「今の美しさを壊さない」からこそできる、上質でやさしい住まいの整え方を、一緒に見つけていきましょう。

Table of Contents

クラシックスタイルの魅力を活かすために大切なこと

レンガの家ならではの魅力といえば、やはりその重厚で趣のある外観。そして、クラシックスタイルが持つやさしい風合いや品のある佇まいに心惹かれる方も多いのではないでしょうか。

年月を経るほどに深みを増すクラシックスタイルは、単に「古い」という印象ではなく、「大切に住み継がれてきた」という物語を感じさせてくれます。だからこそ、リノベーションの際にはこの魅力を壊さず、むしろ引き立てるような工夫が必要です。
例えば、外壁に使われているレンガの質感はそのままに、内部を今の暮らしに合わせて整えることで、家全体の雰囲気に一体感が生まれます。さらに、木製の建具やアンティーク調の照明などを取り入れることで、クラシックな世界観を大切にしながら、現代の快適さをそっと重ねることができます。
クラシックスタイルの持つ魅力を損なわず、これからの暮らしに寄り添う住まいへと整えるためのヒントをお伝えします。

外観はそのまま、心地よく住まうための間取り変更アイデア

クラシックなレンガの家は、外観に強い個性があります。そのため、外壁や屋根の意匠はできる限りそのままに保ちたいと考える方が多いはずです。しかしながら、築年数が経った住宅では、生活スタイルに合わない間取りや動線がそのまま残っていることも少なくありません。
そんなときにおすすめなのが、内部の間取りだけを見直して、暮らしやすさを整えるリノベーションです。たとえば、昔ながらの細かく区切られた部屋をひとつにまとめて、光や風が通りやすいLDKにすることで、住まいの中心が明るく開放的になります。また、壁の一部を抜いてアーチ型の開口部に仕上げれば、クラシックな雰囲気を壊さずに空間同士をやわらかくつなげることができます。
さらに、生活動線を意識した工夫も大切です。玄関からキッチンまでの導線を短くしたり、水まわりを一カ所にまとめて家事効率を高めたりすることで、日々の暮らしにゆとりが生まれます。クラシックな佇まいの中に、現代的な使いやすさを取り入れることで、住む人の心と身体の両方にやさしい住まいへと変わっていきます。レンガの家は、その美しい姿をそのままに、内部の工夫で生まれ変わらせることができる、それが、クラシックリノベーションの醍醐味です。

リノベーションの進め方と成功のコツ

クラシックリノベーションは、一般的な改修工事とは異なり、デザイン性と機能性の両立を求められる点が特徴です。アンティーク調の装飾や質感を取り入れるためには、通常よりも素材の選定や施工方法に慎重さが求められます。また、住まい手の暮らしに合った快適さや実用性を損なわないように進めるには、初期段階から丁寧な段取りと信頼できる施工パートナーの選定が欠かせません。

相談から完成までの流れを知っておく

リノベーションの成功は、どれだけ丁寧に事前準備を進められるかに大きく左右されます。建物の状態を正しく把握し、理想のイメージを明確にしたうえで、計画的に情報を整理し、信頼できるパートナーと相談を重ねていくことが、失敗を防ぐ最大のポイントとなります。

1. 現地調査と要望の整理

まずは建物の現況を細かくチェックし、老朽化の程度や修繕が必要な箇所、構造上の制約などを明らかにするところから始まります。築年数や耐震性、断熱性能の確認に加え、過去の改修履歴なども把握しておくとより正確な判断ができます。そのうえで、「どの部分を活かし、どこに新しさを加えるか」「クラシックな雰囲気をどの程度取り入れるか」といったテーマを明確に設定し、ご自身のライフスタイルや好みに合った方向性を整理しておくことが重要です。

2. プランニングと見積もりの比較

クラシックなデザインは、素材の質感や仕上げにこだわる分、通常のリノベーションよりもコストが高くなりやすい傾向があります。もちろん費用の妥当性を確認することは大切ですが、相見積もりを重ねすぎると本来大切にすべきデザインの一貫性が損なわれることもあります。価格だけでなく、提案内容や施工への姿勢、過去の実績なども含めて総合的に判断し一社とじっくり向き合う形を取ることで、より信頼関係を築き、納得のいく住まいづくりとなるでしょう。

3. 着工から完成までのスケジュール調整

クラシックリノベーションでは、既存住宅の構造や状態に応じて予想外の補修や調整が必要になることがあり、工程が予定通りに進まないケースも少なくありません。また、アンティーク調の部材や特注の建具など、取り寄せに時間を要するものもあるため、スケジュールにはある程度の余裕を持たせておくことが重要です。余裕を持った計画は、品質を保ちながら丁寧な施工を進めるための土台となり、結果的に満足度の高い仕上がりへとつながります。

クラシックリノベーションに強い施工会社を選ぶには

クラシックリノベーションの成否を左右する大きな要素のひとつが施工会社の持つセンスと経験値です。一般的な工務店では対応しきれない細やかなデザイン表現や素材の扱い方が求められるため、このジャンルに特化したノウハウがある会社を選ぶことが満足度の高い仕上がりにつながります。以下に、信頼できる施工会社を見極めるための具体的なポイントをご紹介します。

施工事例を確認する

クラシックやアンティーク調の施工実績が豊富な施工会社は歴史的なデザイン様式や素材の特性を深く理解しており、単なる表面的な装飾ではなく、本格的な雰囲気を建築空間の中で丁寧に再現するノウハウを持っています。使用するモールディングや金物の選定、木部の加工方法に至るまで、細部へのこだわりが反映されており、完成後の満足度に大きく影響します。過去の事例をじっくりと確認することで、その会社がどのようなスタイルを得意としているか、提案力や仕上がりの質まで見極める手がかりとなります。

相談時の対応をチェック

ヒアリングの段階でどれだけ丁寧にお客様の要望をくみ取り、空間全体のデザイン性と実用性のバランスを考えた提案ができるかどうかは、その会社の対応力を見極めるうえでの重要な指標となります。クラシックな意匠を押しつけるのではなく、ライフスタイルや使い勝手まで視野に入れた提案をしてくれるかどうかを見ておきましょう。

職人の技術力を確かめる

クラシックリノベーションにおいては、既製品では表現できない繊細な装飾や仕上げが求められる場面も多くあります。特注の建具やモールディング、曲線を活かした木工加工など、伝統的な技術を持つ職人が在籍しているかどうかは、仕上がりの完成度に直結します。実際に手掛けた施工例を見せてもらい、職人の技術水準を確認することが大切です。

打ち合わせで伝えておきたいこだわりポイント

クラシックリノベーションでは、仕上がりイメージの共有が特に重要です。以下のような点を、打ち合わせ段階でしっかり伝えておくと安心です。

色味のトーンや素材感の指定

色のトーンや質感は、空間の印象を決定づける大切な要素です。例えば、柔らかいマット調の色合いで統一するのか、重厚感のある艶やかな仕上がりにするのかによって、雰囲気が大きく異なります。また、床や壁に使用する素材も、無垢材や石材などの天然素材を希望するのか、アンティーク加工で時を経たような味わいを加えるのかなど、具体的な方向性を明確にすることで、施工側とのイメージ共有がしやすくなり、納得のいく仕上がりに近づけます。

家具や照明との調和

クラシックリノベーションでは、空間全体の世界観を壊さないためにも、家具や照明との調和が欠かせません。すでに所有しているアンティーク家具やお気に入りの照明器具がある場合、それに合わせた壁の色味や建具のデザイン、素材の質感をコーディネートすることで、全体に統一感が生まれます。また、今後購入予定のインテリアアイテムがある場合は、打ち合わせ段階で共有しておくと、それを前提にした空間設計が可能になります。インテリアと建築を別々に考えるのではなく、一体として捉えることが、完成度の高いクラシック空間づくりには重要です。

将来のライフスタイルを見据えた構成

クラシックリノベーションは、住まいを長く大切に使い続けるという思想にも通じています。そのため、今の暮らしに合ったデザインだけでなく、将来の家族構成やライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる間取りや仕様を取り入れておくことが重要です。たとえば、お子様の成長や独立、在宅勤務の普及によるワークスペースの確保、高齢期に備えたバリアフリー設計など、人生の変化を見越したプランニングが求められます。時代の流れとともに暮らし方が変化しても、快適さや使いやすさを維持できるように設計することで、リノベーションの価値が長く続きます。

クラシックリノベにありがちな失敗とその対策

クラシックリノベーションは、その魅力ゆえに“見た目重視”になりやすい傾向があります。後悔を防ぐために、よくある失敗例とその対策を見ていきましょう。

デザイン重視で使い勝手を損なってしまうケース

アンティーク調の建具や造作家具は空間に独特の味わいと風格をもたらしますが、その一方で現代の生活スタイルには合わないケースもあります。たとえば、扉の開閉が重かったり、引き出しの奥行きが浅く収納力が不足していたり、掃除がしにくいといった問題が生じることがあります。また、年月を経た素材はデリケートな場合も多く、定期的なメンテナンスを怠ると美観を損ねてしまう恐れも。

対策: クラシックな雰囲気を壊さずに、現代の暮らしに適した利便性を取り入れることが大切です。たとえば、外見はアンティーク調に仕上げつつ、内部はスライド式で収納しやすい構造にするなど、機能性と意匠性を両立した設計が求められます。職人と相談しながら、使いやすさも重視した造作を計画することで、美しさと快適さを兼ね備えた住空間が実現します。

施工会社との意思疎通不足によるズレ

細かい意匠や素材感のズレは完成してから「思っていたものと違う」と気付くことが多く、工事のやり直しや補修には時間とコストがかかるため、簡単には対応できないケースもあります。特にクラシックリノベーションでは色味や質感、装飾のバランスなど繊細な調整が求められるため、事前のすり合わせが非常に重要です。

対策: 完成後のギャップを防ぐには、パース(完成予想図)やマテリアルサンプル、カラーシミュレーションなどを使って、施工前の段階で仕上がりイメージをできる限り具体的に共有しておくことがポイントです。また、工事が始まってからも現場に足を運び、途中経過を確認しながら必要に応じて微調整を行うことで、理想の空間により近づけることができます。

メンテナンス性を無視した素材選びの落とし穴

塗り壁や無垢材など、質感や風合いに優れた素材は、クラシックな空間づくりに欠かせない魅力を持っていますが、その一方で汚れが付きやすかったり、傷が目立ちやすかったりと、日常の手入れに手間がかかる傾向があります。また、経年変化を味わいとして受け入れるか、定期的な補修を前提とするかによっても、維持管理の負担が大きく変わってきます。

対策: 最近では、無垢材の風合いに近いメラミン素材や、塗り壁調の質感を持つクロス材など、見た目を損なわずにメンテナンス性を高めた建材も多く登場しています。見た目の美しさと実用性のバランスを保つためには、こうした選択肢も視野に入れながら、施工会社とじっくり相談することが大切です。将来の生活スタイルや家族構成も踏まえたうえで、長く快適に使える素材を選びましょう。

レンガの家ならではの防犯・安全対策

重厚感があり美しいレンガの外壁は、クラシックリノベーションの象徴とも言えます。しかし、意匠性が優先され、防犯や災害対策が手薄になりがちな点には注意が必要です。

ドアや窓には防犯性能の高い鍵やガラスを採用

面格子は視覚的な抑止力になるだけでなく、窓からの侵入を物理的に防ぐ役割も果たします。補助錠を追加することで、窓の解錠に時間がかかり、不審者が侵入を諦める可能性が高まります。また、シャッター付きの窓は、台風や強風などの自然災害に備える防災効果も兼ね備えており、日常的な防犯対策としても非常に有効です。これらの要素を併用することで、美観を損なわずに高い防犯性を確保することが可能になります。

外構にセンサーライトを設置

センサーライトは人の動きに反応して自動で点灯するため、不審者が近づいた際に瞬時に明るく照らし出し、強い心理的なプレッシャーを与えることができます。夜間の暗がりに明かりが灯ることで、周囲の住民や通行人からも異変に気づいてもらいやすくなり、犯行を未然に防ぐ抑止力として機能します。防犯カメラと併用することで、さらなる効果が期待できるでしょう。

植栽の配置にも配慮

背の高い植木や塀の陰は、視界を遮ることで空き巣や不審者が身を潜めやすくなるため、敷地内の死角を生む原因になります。とくに玄関周辺や勝手口、窓の近くにこうした遮蔽物があると、外からの視認性が下がり、防犯性が著しく低下します。防犯性を高めるには、植栽の高さや配置を見直し、視界を確保しやすい開放的な外構計画にすることが大切です。また、照明との組み合わせによって死角を減らす工夫も有効です。

火災・水害などへの備えを見直す

レンガは耐火性に優れていますが、内部構造や屋根材によっては火災のリスクもゼロではありません。また、水害に対する備えも必要です。

感知器・消火器の設置

内装に木材を多用するクラシックリノベーションでは、素材の特性上、延焼のリスクが高まる可能性があります。特に梁や天井、床材に無垢材を使用している場合は、火がまわりやすくなるため、火災感知器や自動消火器の設置に加え、電気配線の引き直しや分電盤の見直しなど、安全性を高める措置が重要です。また、暖炉やキャンドルを使った演出を取り入れる場合は、万が一に備えて防炎性のあるカーテンやラグを選ぶなど、日常の暮らしに火災リスクを抑える工夫を取り入れておくと安心です。

排水計画と外構の工夫

ゲリラ豪雨や集中豪雨などの異常気象に備えるには、排水設備がきちんと機能しているかを定期的に点検することが不可欠です。排水口の詰まりや雨樋の破損、排水勾配の不備があると、短時間に大量の雨が降った際に雨水が建物内に侵入するリスクが高まります。また、建物の周囲の地盤が低かったり、水はけが悪い場合には、雨水が溜まりやすくなるため、透水性の高い舗装材を使ったり、敷地の高さを調整するなどの外構整備も効果的です。災害リスクを軽減するためにも、設計段階から排水計画と地盤の状態を考慮に入れておくことが大切です。

近年注目されているスマートホームとの組み合わせ

クラシックな外観と最新のIoT設備を融合させる事例も増えています。

スマートセキュリティ

スマホで施錠・解錠が可能なスマートロックを導入することで、鍵を持ち歩かずに出入りできる利便性が向上するだけでなく、外出先からの遠隔操作や家族の出入り履歴の確認も可能になります。また、インターホンと連動したカメラ付きドアホンや、録画機能を備えた防犯カメラを設置すれば、侵入者の記録やリアルタイムの確認ができ、防犯意識を高める効果があります。これらの設備は、美観を損なわずに設置できるデザインも増えており、クラシックな外観とも調和しやすくなっています。

災害時の通知システム

スマートホーム技術の進化により、停電や漏水、異常な温度変化などの災害リスクを検知し、スマートフォンへ即時に通知するシステムの導入が可能になっています。これにより、外出中でもトラブルの発生を素早く把握でき、早期対応が可能となります。特に長期不在時や高齢者の単身世帯などでは、こうしたシステムが万一の備えとして大きな安心感を与えてくれます。クラシックな空間と先進技術を融合させることで、安全性と快適性の両立を図ることができます。

レンガ外壁の特徴と構造的メリット

レンガの家と聞いて、多くの方が思い浮かべるのは、どっしりとした重厚感と、時を経るほどに味わいを増す外観ではないでしょうか。実際、欧米の街並みでは数十年、時には100年以上も前に建てられたレンガ住宅が現役で使用されています。では、なぜレンガ外壁はそこまで長寿命なのでしょうか?ここではレンガの基本的な特徴から構造的な強みまでをご紹介します。

焼成による強固な構造が劣化を防ぐ

レンガは粘土や頁岩(けつがん)などを高温で焼き固めた建材です。焼成温度は900〜1200℃に達し、その過程で内部の気泡や水分が飛ばされ、極めて高い強度と耐久性を持つ素材に仕上がります。

この「焼成」によって形成された硬質な構造は、長期にわたる外気の影響や風雨、気温の変化に強く、ひび割れや剥離が起きにくい特徴を持っています。特に乾燥と湿気が交互に訪れる日本のような気候条件下でも、レンガは安定した性能を発揮します。

紫外線や雨風による劣化が少ない理由

外壁の劣化要因の一つである紫外線。塗装や合成樹脂系の外装材は、長年の紫外線照射によって色あせや表面のひび割れが起きやすいですが、レンガは無塗装でもそのまま使える耐紫外線性能を持ちます。
また、レンガ自体が水を吸いにくい性質を持っているため、雨による染み込みや内部への侵入も最小限に抑えられます。加えて、表面の細かい凹凸が水の流れを分散させるため、汚れがつきにくく、長期間にわたり美観を保ちやすい点も魅力です。

通気性と吸湿性のバランスがカビや劣化を防ぐ

レンガは硬くて強いだけでなく、実は程よい「通気性」と「吸湿性」も持ち合わせています。これにより、壁の内部に湿気がこもるのを防ぎ、結露やカビの発生を抑制する効果が期待できます。

特に日本のように四季があり、湿度が高くなる梅雨や夏の時期には、住まいの内部環境を良好に保つためにも、この性質は非常に重要です。壁体内結露を防ぐことで、断熱材や構造体の劣化を防ぎ、住まいの長寿命化にもつながります。

高い耐火性能と防音性

レンガは不燃材であるため、万が一の火災時にも延焼しにくい特徴があります。実際に、欧米では火災対策の一環としてレンガ造の住宅が普及している地域も多く見られます。

また、その質量と構造によって、優れた遮音性も兼ね備えています。生活音や外部の騒音を低減できるため、静かで落ち着いた住環境を求める方にとって、非常に魅力的な外壁材だと言えるでしょう。

自然素材ならではの数多くのメリット

レンガの外壁は、

・焼成による高強度構造
・紫外線や雨風への強さ
・通気性と吸湿性のバランス
・高い耐火性と防音性

といった、自然素材ならではの数多くのメリットを持っています。これらの特徴により、レンガの家は単なる「デザイン重視の家」ではなく、「機能性」と「長寿命性」を兼ね備えた、住まいとしての理想形の一つだと言えるでしょう。

断熱・耐震性能を高めるリノベーション

クラシックな外観を守りながら、暮らしの安心と快適さを高める

築年数を重ねたレンガの家は、外観の趣きこそ変わらないものの、内部では少しずつ暮らしへの影響が現れてくることがあります。特に「寒さが気になる」「夏の湿気がこもりやすい」「地震への不安がある」といった声は、年数を経た住宅に多く見られる課題です。クラシックな佇まいを守りながら、これからの50年を安心して快適に過ごすためには、断熱性能と耐震性能の向上が欠かせません。
ここでは、外観を損なわずに住まいの基本性能を高めるためのリノベーション方法について、わかりやすくご紹介します。

内部断熱による快適性アップ

レンガ外壁は高い耐久性と自然の断熱性を持っていますが、築年数が経つと壁の中の断熱材の劣化や不足が気になる場合があります。外観をそのままにしたい場合には、「内部断熱(内断熱)」のリフォームが有効です。

・既存の室内壁を一部解体して、断熱材を新たに充填する方法
・内装仕上げと同時に、断熱強化と気密性向上を図る

これにより、夏は外からの熱を遮り、冬は室内の温もりを保てるようになります。
結果として冷暖房の効率も上がり、光熱費削減にもつながります。また、近年では「調湿機能」を持った断熱材もあり、レンガ壁の自然な吸湿性と合わせて、より快適な室内環境を作ることも可能です。

窓まわりの断熱リノベーション

断熱性能を高める上で、もうひとつ大切なのが「窓」です。
築年数が経った住宅では、シングルガラスのままのことも多く、冬の冷気や夏の熱気の大きな出入り口になっています。
おすすめの方法は──

・既存の窓に内窓(二重窓)を設置する
・クラシックデザインにマッチする断熱性の高いサッシに交換する

内窓を設置するだけでも断熱性・防音性が大幅に向上し、外観を変えずに性能アップが図れます。
また、窓枠やサッシはデザインにこだわることで、クラシックな印象を守りつつ、機能を高めることができます。

耐震性能を向上させるリノベーション

レンガ住宅はその重厚感から「頑丈そう」と思われがちですが、実は耐震性能については慎重な検討が必要です。
特に築40年以上の建物では、耐震基準が今とは異なるため、現代の地震に対する安全性を十分に満たしていない場合もあります。
そこで重要なのが、「外観を壊さずにできる耐震補強」です。
主な方法としては──

・室内側から壁や柱に補強材を追加する
・制震ダンパーを設置して揺れを軽減する
・基礎の補強や補修を行う

耐震診断を受けた上で、必要に応じた補強リノベーションを施すことで、大切なご家族様の命と資産を守ることができます。

見た目を損なわない工夫がポイント

断熱や耐震リノベーションに取り組む際、大切なのは「今のクラシックな佇まいを壊さない」という意識です。

・壁の内側から施工をする
・窓や開口部の意匠に配慮する
・外壁に影響を与えない耐震補強を選ぶ

こうした工夫をすることで、見た目の美しさを保ちながら、性能を確実に底上げすることが可能になります。リノベーション会社としっかり打ち合わせを重ね、希望を細かく伝えることも成功への近道です。

水まわり・設備リニューアルで暮らしを快適に

築年数を重ねたレンガの家では、キッチンや浴室、トイレ、洗面所などの水まわり設備に老朽化が見られることが少なくありません。見た目には美しくても、機能面では「古さ」や「使いにくさ」を感じる場面もあるのではないでしょうか。
だからこそ、クラシックなデザインはそのままに、現代の設備を取り入れたリニューアルが重要になります。単に新しくするのではなく、空間全体の雰囲気や世界観を壊さずに整えることが、クラシックリノベーションの醍醐味です。
ここでは、暮らしの質を高める水まわりリノベーションの具体的なアイデアをご紹介します。

キッチン:使いやすさとデザインの調和

昔ながらのキッチンは、作業スペースが狭かったり収納が不足していたりと、現代の生活スタイルには合わないことがあります。しかし、システムキッチンを導入する際にも、クラシックな木目調の扉や真鍮の取っ手、陶器のシンクなどを選べば、雰囲気を損なわずに機能性を高めることが可能です。
また、アイランドキッチンやペニンシュラ型など、開放的なレイアウトに変更することで、家族とのコミュニケーションが取りやすい空間になります。アーチ型の開口部や間接照明を加えれば、クラシックな世界観を守りながら、現代的な快適さを手に入れることができます。

浴室:レトロ感を残しながら、清潔で安全な空間へ

タイル貼りのクラシカルな浴室は見た目には魅力的ですが、滑りやすかったり掃除がしにくいという面もあります。最近では、アンティーク調の浴槽やクラシックデザインの水栓金具などを取り入れたユニットバスも登場しており、見た目の美しさと安全性・メンテナンス性の両立が可能になっています。
また、高齢のご家族様がいる場合は、浴槽の高さや手すりの設置、床材の滑り止めなど、安全性にも十分配慮しましょう。見た目の統一感と機能性を両立させることで、毎日のバスタイムが心地よいものになります。

トイレ・洗面所:細部の意匠にこだわる

トイレや洗面所は限られたスペースだからこそ、リノベーションの効果が現れやすい場所です。クラシックスタイルのトイレには、木製の便座やアンティーク調のタオルリング、陶器製の洗面ボウルなどがよく似合います。
また、照明器具をクラシックなデザインにするだけでも、空間の雰囲気は大きく変わります。小さなスペースでも「統一感」を意識して選ぶことで、住まい全体のデザインバランスが整い、より完成度の高い空間に仕上がります。

配管・電気まわりの見直しも忘れずに

水まわりのリノベーションにあたっては、見た目だけでなく「配管の老朽化」や「電気設備の安全性」など、見えない部分にも注意が必要です。

・古い給水・排水管の劣化による水漏れリスク
・電気容量が不足し、ブレーカーが頻繁に落ちる
・アースや漏電対策が不十分

こうした問題を放置してしまうと、せっかくのリノベーションが台無しになってしまいます。クラシックなデザインの中にも、しっかりとした現代的な安全性・機能性を持たせることが大切です。

「水まわりの快適性」が暮らしの質を左右する

クラシックな住まいを大切にするリノベーションでは、「水まわりの快適性」が暮らしの質を大きく左右します。
キッチン・浴室・トイレ・洗面所、それぞれの空間に合った設備を選びながら、クラシックな美しさとの調和を図ることで、見た目と使い勝手のどちらも妥協しない住まいが完成します。
表に見える部分も、見えない部分も、丁寧に整えていくこと。これこそが、これからの時代にふさわしいクラシックリノベーションのあり方なのです。

レンガの家と共に育つ庭づくり

長い年月を経て深みを増すレンガの家。その佇まいにふさわしいのは、同じように時を重ねることで味わいを増す庭の風景です。クラシックなレンガ住宅に似合う庭づくりは、単なる美しさだけではなく、家とともに物語を紡いでいく存在になります。ここでは、レンガの家の魅力をより引き立てる庭づくりのポイントをご紹介します。

時と共に美しくなる庭とは

レンガ住宅に似合う庭づくりは、すぐに完成を求めず、時と共に変化を楽しむスタイルが理想的です。植物が成長し、季節によって表情を変えることで、家と庭が一体となった景観が生まれます。成長する過程も楽しめる庭を目指しましょう。

レンガ住宅に似合う植物選び

バラやラベンダー、オリーブなど、ヨーロッパの街並みを思わせる植物がよく似合います。常緑樹と落葉樹をバランスよく取り入れ、季節ごとの彩りを楽しめるようにしましょう。草花はナチュラルな色合いを中心に選ぶと、レンガの温かみを引き立てます。

アイアンフェンスや石畳で風景を作る

レンガと相性の良い素材として、アイアンフェンスや石畳があります。玄関アプローチに天然石を敷き、庭にはアンティーク調のアイアンフェンスを取り入れると、クラシックな雰囲気がより一層引き立ちます。素材の経年変化も楽しみの一つです。

季節を感じる庭木・花壇のレイアウト

春の芽吹き、夏の青葉、秋の紅葉、冬の枝ぶりのように四季折々の美しさを感じられる庭木や花壇の配置を工夫しましょう。季節の移ろいを住まいの中から眺められるように、窓辺やデッキ周りに彩りを添える設計がおすすめです。

手間をかけすぎない、暮らしに寄り添う庭づくり

忙しい日常の中でも楽しめる庭にするために、メンテナンスが比較的楽な植物を中心に選びましょう。自動散水システムの導入や、ローメンテナンスなグラウンドカバーの使用も効果的です。無理のない範囲で手をかけながら、暮らしと共に育つ庭を楽しみましょう。

クラシックデザインを引き立てるインテリアの整え方

クラシックな外観の美しさを守ったレンガの家だからこそ、室内のインテリアにも統一感を持たせたいもの。アンティークの家具や照明、上質な素材を選ぶことで、リノベーション後の空間に自然な風合いと奥行きを与えることができます。ここでは、クラシックスタイルに調和するインテリアの整え方について、具体的なヒントをお伝えします。

アンティーク家具を取り入れるコツ

クラシックスタイルを際立たせるためには、本物のアンティーク家具や、アンティーク風のリプロダクト家具を取り入れるのがおすすめです。ポイントは、部屋全体をアンティークで揃えすぎず、現代的な要素とバランスをとること。例えばダイニングテーブルはアンティークに、椅子はシンプルなデザインを選ぶなど、メリハリをつけると自然な雰囲気になります。

照明選びで空間に表情をつける

照明は空間の雰囲気を決定づける重要な要素です。クラシックなレンガの家には、シャンデリアや真鍮製のブラケットライト、アイアン素材のペンダントライトなど、温かみのある光を放つ照明がよく似合います。間接照明を上手に使って、空間に奥行きと陰影をつけましょう。

クラシックスタイルに合うファブリックとは

カーテンやクッションカバー、ラグなどのファブリックも、インテリアの雰囲気作りには欠かせません。リネンやコットン、ベルベットといった自然素材を使い、色はベージュやグリーン、ボルドーなど落ち着いたトーンを選ぶと、空間全体に統一感が生まれます。柄物を取り入れる際は、ダマスク柄やトワルドジュイなど、クラシックなモチーフを選ぶとよいでしょう。

木材やアイアンを活かしたディテール演出

床材や建具には、無垢材や古材を使うことで、クラシックな重厚感を演出できます。また、アイアンの手すりやドアノブ、金具類も細部にこだわることで、空間全体の世界観を高めることができます。目立たない部分にこそ、こだわりを持つことが上質な空間づくりのコツです。

全体の調和を意識したカラーコーディネート

クラシックな住まいを美しくまとめるためには、カラーコーディネートも大切です。ベースカラーを決めて統一感を持たせ、アクセントカラーで変化をつけると、落ち着きがありながらも華やかさを感じさせる空間に仕上がります。特に、レンガ外壁と調和するアースカラーや、深みのある色合いを意識すると、家全体が一体感のある美しい住まいになります。

クラシックリノベーションで叶える、心豊かな日常

クラシックリノベーションの魅力は、見た目の美しさや設備の刷新にとどまりません。時間を重ねた住まいだからこそ感じられる「居心地の良さ」や「心のゆとり」を、リノベーションによってさらに深めることができます。

丁寧な暮らしを育む空間へ

クラシックな住まいは、毎日の所作や時間の使い方に自然と落ち着きをもたらしてくれます。たとえば木の香りが残る床材や、温かみのある照明の下で過ごす食事のひととき。そうした空間で過ごす時間が、心に余白を与えてくれるのです。

また、見せる収納や家具の配置にも工夫を凝らすことで、「しまい込む」暮らしから「飾って楽しむ」暮らしへと変化していきます。お気に入りの器を並べたり、四季折々の植物を取り入れたりすることで、空間と暮らしがより密接に結びつき、日々の営みに彩りが加わります。

家族の時間が深まる空間設計

クラシックリノベーションでは、空間の構成そのものが「家族のつながり」を意識して整えられます。たとえば、リビングとダイニングを緩やかに仕切ることで、それぞれの時間を尊重しつつ、自然と会話が生まれる距離感が保たれます。

また、家事動線や収納の配置を工夫することで、無駄な動きを減らし、家族と過ごす時間を確保することができます。クラシックな雰囲気に包まれながら、機能的であたたかな日常が育まれていくのです。

「リノベでしか作れない」時間の積み重ねを感じる家づくり

新築住宅では決して生まれない“時間の重なり”が、クラシックリノベーションの最大の魅力です。古い家が持つ物語や風合いを活かすことで、住まいそのものが「家族の歴史」を映し出す舞台となってくれます。

過去と未来がつながる設計

長年住まわれてきた家には、そこに暮らした人々の記憶が宿っています。床のきしみや窓辺の光の入り方、庭に立つ木々──それらを大切に受け継ぐことで、「懐かしさ」と「新しさ」が共存する住まいが生まれます。

こうした“時間の層”を活かすリノベーションは、新築とは異なる奥行きのある空間を作り出します。単に古さを取り除くのではなく、「この家だからこそできる」空間づくりを目指すことが、住まい手の想いに寄り添う最良の方法といえるでしょう。

住まいとともに、記憶を重ねていく

クラシックリノベーションによって整えられた住まいは、これから先も新しい物語を紡いでいく舞台となります。お子様の成長やご家族様のライフスタイルの変化に合わせて、空間を柔軟に使いこなしていくことで、住まいにさらなる深みと意味が生まれていきます。

また、お気に入りの家具や照明、使い続けてきた道具たちも、リノベーションの中で新しい居場所を得て、より愛着のある存在へと変わっていきます。「暮らしの積み重ね」が家そのものに刻まれていく──それが、クラシックリノベーションという選択肢の持つかけがえのない価値です。

快適性とデザイン性を両立する照明計画

クラシックな雰囲気を守りながらも、暮らしやすさのためには十分な明るさや機能性も大切です。玄関や廊下、洗面所には安全性を考えた適切な照度が必要で、人感センサー付き照明や足元灯が便利です。

また、調光機能のある照明を取り入れることで、時間帯やシーンに応じた心地よい光の演出が可能になります。スイッチや配線の位置にも配慮することで、動線を妨げず快適に使える住まいになります。

自然光を活かすレイアウトの工夫

日中はできるだけ自然光で過ごせるよう、窓の位置や室内の明るさのバランスを考えた間取りが重要です。カーテンやブラインドも空間に合わせて、光を柔らかく取り入れる工夫をしましょう。吹き抜けを設けたり、光を通す内窓やガラス扉を取り入れることで、家全体に光が行き渡るように設計するのも効果的です。

暖色系の照明で温かみを演出

リビングやダイニングには、電球色の照明を選ぶことでクラシックな空間と調和しやすくなります。間接照明を用いれば、柔らかい陰影をつくり出し、落ち着いた空間を演出できます。壁や天井を照らすアップライトや、スタンドライトを取り入れると、視線が集まりすぎず、空間全体に奥行きが生まれます。

クラシックスタイルに馴染む収納リノベーション

収納計画も、クラシックリノベーションにおいては重要なポイントです。限られた空間でも圧迫感を与えないよう、造作家具や空間に溶け込む収納を活用することで、デザインと実用性を両立させることができます。

家具のような見せる収納を採用

無垢材の収納棚やアンティーク調のキャビネットを取り入れることで、収納そのものがインテリアの一部となり、空間に統一感が生まれます。木の温もりやクラシックな意匠が空間全体の雰囲気を高め、実用性だけでなく見た目の心地よさも兼ね備えた収納が実現します。

隠す収納とのバランスが鍵

生活感を隠したい部分には引き戸付きの収納を設けたり、デザイン性のある目隠し布や格子戸を取り入れたりすることで、美しさと機能性を両立できます。特にキッチン周辺や洗面所などは、生活感が出やすいため、視線の抜けを意識しつつ目隠しできる工夫が有効です。空間の印象を損なわずに、日常の利便性を高めることができます。

ペットと共に暮らすクラシックハウス

クラシックな空間の中でも、ペットとの共生を諦める必要はありません。室内の美観を保ちつつ、ペットがストレスなく暮らせる環境を整えることで、双方が快適に過ごせる住まいが実現します。家具や床材の選定、空間のゾーニングによって、上品さと実用性を両立させた共生スタイルを目指しましょう。

傷に強い床材選び

無垢材でも硬質な樹種を選んだり、自然塗装で補修しやすい仕上げを選ぶことで、ペットの爪による傷にも対応しやすくなります。具体的には、ナラ(オーク)やタモなどの広葉樹は傷に強く、へこみにくい性質を持っています。また、自然塗装は表面が厚塗りされていないため、小さな傷であれば自分でサンドペーパーとオイルを使って目立たなくすることも可能です。経年変化を楽しみながら、傷さえも味わいの一部として受け入れることで、クラシックな住まいの魅力を保ち続けることができます。

ペットにも優しい空間づくり

滑りにくい床材や、ペット用のスペース、動線を確保した設計にすることで、人とペットが快適に過ごせる住まいが実現します。具体的には、クッション性のあるコルク材や滑り止め加工を施したフローリングを選ぶことで、ペットの足腰への負担を軽減できます。また、リビングや廊下の一角にペット専用のくつろぎスペースを設けたり、トイレやフードコーナーを動線上に無理なく配置することで、生活の中に自然にペットの居場所が溶け込む設計が可能です。ペットゲートや段差の少ないフロア構成なども取り入れ、ペットが安全かつ自由に移動できる空間づくりを心がけましょう。

ゆとりのある玄関でおもてなしの心を演出

住まいの「顔」ともいえる玄関こそ、クラシックな印象を大切にしたい場所です。第一印象が決まる場所であり、家全体の雰囲気を象徴する空間でもあります。落ち着いた色調や素材の質感にこだわることで、上品さとあたたかみを両立した迎え入れの空間を演出できます。

クラシックスタイルの建具と床材選び

重厚感のある木製の玄関ドアや、タイルや天然石を使った床仕上げで、来客を優しく迎える印象を与えます。木製ドアは経年とともに風合いが増し、真鍮製の取っ手や装飾ガラスをあしらえば、品格のあるエントランスに。床には大判の天然石やテラコッタタイルを用いることで、クラシックな雰囲気と耐久性を両立できます。季節の草花や照明との組み合わせで、住まいの第一印象をより温かく演出しましょう。

シューズ収納にもひと工夫

家具のような収納を採用することで、生活感を抑えつつ、上質な空間を演出することができます。たとえば、木製のキャビネット型シューズボックスやアンティーク調の収納棚は、見た目の重厚感と機能性を両立します。扉付きにすることで内部をすっきりと隠しながら、上部に花やランプを飾れば、インテリアの一部として玄関の雰囲気を高めるアクセントになります。

音楽や読書、趣味を楽しむ居場所を

家の中に「自分だけの時間を楽しむ空間」を持つことは、心豊かな暮らしを実現するうえで欠かせません。読書や音楽、ものづくりなど、集中できる“自分専用のスペース”があることで、日々の疲れを癒し、自分らしさを取り戻す時間が生まれます。

趣味のためのコーナー設計

ピアノや読書、手芸やアートなど、自分の趣味に合ったスペースをあらかじめ設けることで、毎日の暮らしがより充実します。たとえば、ピアノコーナーには防音性の高い壁材や床材を用い、読書スペースには間接照明と心地よい椅子を配置するなど、用途に応じた空間設計がポイントです。収納も趣味に合わせて確保しておくことで、道具や資料が散らからず、快適で整った環境が保てます。

音の響きを考えた素材選び

無垢材の床や厚みのあるカーテン、遮音性の高いドアを使うことで、音楽や静かな時間を楽しめる空間づくりが可能になります。たとえば、足音をやわらげるために厚手のラグを敷いたり、防音カーテンや吸音パネルを取り入れることで、音の反響や外部の騒音を抑える効果が期待できます。遮音性の高いドアは隙間を防ぎ、個室としてのプライベート性を高めてくれます。音を楽しむ空間だからこそ、素材選びや細かな工夫が心地よさに直結します。

住みながら進めるリノベーションの注意点

クラシックリノベーションを検討する際、「住みながら工事を進めたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか。しかし、実際に住みながらのリノベーションには、快適な暮らしを維持するための工夫と、ストレスを減らすための対策が欠かせません。
ここでは、住みながらリノベーションを進める際の注意点を詳しくご紹介します。

どの部屋をどの順番で工事するか

住みながらリノベーションを行う場合、まずは工事する部屋の順番を明確に決めることが重要です。
例えば、リビング、寝室、キッチン、浴室など、どの部屋をどのタイミングで工事するのかを計画しておくことで、生活への影響を最小限に抑えられます。リビングなどの共用スペースを後回しにする、あるいは生活に不可欠なキッチンは早めに終わらせるなど、暮らしの優先順位に応じた工事スケジュールを立てましょう。
例えば、寝室は生活の拠点となるため、早めに仕上げることで仮住まい不要の状態を作ることができます。浴室やトイレは工事中の代替手段(仮設トイレや簡易シャワー)を確保する必要があり、これらの準備も計画に入れることが大切です。
複数の部屋を同時進行で工事する場合は、生活スペースを確保できるようゾーニングを工夫しましょう。

作業時間帯(特に日中のみか、夜間作業も含まれるか)

工事の作業時間帯も、事前に業者と話し合って決めておくことが大切です。日中のみの作業であれば、家族の生活リズムに合わせて工事を進められますが、場合によっては夜間作業が必要なこともあります。特にマンションや集合住宅の場合、近隣への配慮も必要ですので、時間帯を明確にし、日常生活への支障を避ける工夫を講じましょう。
さらに、週末や祝日の作業の有無や、作業内容ごとの時間帯の詳細(解体作業は午前、塗装作業は午後など)も業者と細かく取り決めておくことで、家族の予定や近隣住民への配慮も行き届きます。

騒音や埃の発生が多い工程の時期を事前に把握

リノベーションでは、解体作業や塗装、左官工事といった騒音や埃が出やすい工程があります。こうした工程がいつ行われるのか、どのくらいの期間かかるのかを事前に把握し、家族で共有しておくことが重要です。
解体作業は騒音と埃の発生が多く、特に始めの段階で行われることが多いため、工事初期の準備をしっかり行う必要があります。塗装や左官工事は乾燥時間や臭いが気になるため、工期の中盤や後半に実施されることが多いです。
こうした工程の進行と予定を確認し、騒音が多い日は外出を計画する、空気清浄機を設置する、ペット用の一時避難スペースを用意するなど、環境への対策を準備しましょう。

工事中の安全対策を徹底

住みながらのリノベーションでは、家の中に仮設の壁や足場、資材が置かれることがあります。特に小さなお子様やペットがいる場合は、危険箇所をしっかり区切り、養生シートや仮設扉などで安全を確保する工夫が必要です。
工事業者との打ち合わせで、工事中の通路や使用可能なスペースを明確にしておきましょう。さらに、工事用の出入り口や動線を確認し、生活エリアとの動線を分ける計画を立てることも大切です。
工事業者に安全管理の徹底を依頼し、現場の状況に応じて都度改善策を検討しましょう。

仮住まいの検討も視野に入れる

全面改修や水回りの工事を伴う場合は、住みながらの生活が困難になるケースも考えられます。短期間だけ仮住まいを用意する、または親戚宅を一時的に利用するなど、無理のない選択肢を検討することをおすすめします。
工事内容と進捗を確認したうえで、仮住まいの必要性を具体的に判断し、仮住まいの手配、荷物の移動、光熱費やネット環境の準備も忘れずに計画に入れましょう。
仮住まいから工事現場までの移動手段や、生活リズムの維持についても配慮することが大切です。

騒音・埃・臭い対策を忘れずに

工事中は騒音や埃、塗料・接着剤の臭いが気になることがあります。特にレンガ住宅のクラシックリノベでは、塗装や左官仕上げなどの作業が入るため、換気や空気清浄機の設置を検討すると良いでしょう。
また、埃対策として家具や家電を養生したり、工事中は窓の開閉や換気計画を工夫することもポイントです。
さらに、室内に持ち込む工事道具や資材の清掃も心がけ、可能であれば作業場の養生マットを設置する、玄関や通路に養生材を敷くなど、室内の清潔を保つための配慮を行いましょう。

ストレスを軽減する工夫を取り入れる

住みながらのリノベーションは、どうしても日常生活に制限がかかり、ストレスを感じやすいものです。長期間にわたる工事で、生活空間が制約されることや、工事音、振動、埃、臭いといった不快な要素が重なることで、普段の暮らしのリズムが崩れ、心理的な負担も増える可能性があります。
工事期間を快適に過ごすためには、心身の負担を軽減する工夫が必要です。

工事スケジュールを可視化して家族と共有する

工事の進行を家族全員で把握することで、ストレスを減らせます。
工事予定表や作業計画表を共有し、進捗状況を一緒に確認しておくと安心です。
例えば、カレンダーやホワイトボードに進行状況を記入し、子どもにも分かりやすく説明する工夫をすると、家族みんなで工事の進行を把握でき、混乱や不安を減らすことができます。

作業の進捗をこまめに確認し、イレギュラーがあれば早めに調整

予期しないトラブルや遅延が発生する場合もあります。工事中は現場を見学したり、担当者と連絡を取り合い、問題が起きた際は迅速に対応できるようにしましょう。
具体的には、現場での進行状況の確認、週ごとの報告会や進捗会議の設定、写真やメッセージアプリを通じた記録の共有など、密な連絡を心がけることで、工事の不測の事態にも素早く対応できます。

リラックスできる空間(寝室やリビングなど)を一時的にでも確保

工事中は騒音や埃、生活スペースの制約でストレスが溜まりやすいです。静かで落ち着ける空間を確保し、日々の暮らしに心のゆとりを作り出す工夫を取り入れましょう。
例えば、寝室を工事の対象外エリアに設定しておく、リビングや子供部屋に一時的にリラックススペースを設ける、音楽やアロマを取り入れて癒しの空間を演出する、読書や趣味の時間を取り入れるなど、自分に合った心のリフレッシュ方法を工夫することもおすすめです。

どのような暮らし方をお望みですか?

クラシックな家に新たな息吹を吹き込むリノベーション──
SEISYOでは、ご相談をいただく際に、まず最初に「どのような暮らし方をお望みですか?」とお聞きしています。
それは、単に見た目を整えるリフォームではなく、そこに住まう方の理想のライフスタイルを叶えるお手伝いをしたいと考えているからです。
「今の家のここが気になる」「こんな暮らしをしてみたい」「将来を見据えた住まいにしたい」──
どんなことでも構いません。お客様の声を丁寧に受けとめながら、理想の住まいへとカタチにしてまいります。
レンガの家のクラシックな魅力を活かしながら、もっと快適に、もっと自分らしく。
リフォームやリノベーションをご検討の際は、ぜひ一度、SEISYOへご相談ください。
↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓↓
https://seisyo-co.jp/contact/

著者プロフィール

中島 盛夫

株式会社盛匠代表取締役[保有資格:二級建築士、宅地建物取引士]
大工としてひたむきに走り続けていた26歳のある日、お客様の娘様から頂いた現場での一言、 「良い家を作ってくれてありがとう」その言葉に建築への想いが膨らんでいく気持ちに気づいた私は、 「家づくりの最初から最後まで、じっくりをお客様と対話して、一生のお付き合いがしたい」と感じ、SEISYOを立ち上げました。

 
PAGE TOP