住宅を購入する際、多くの方が費用を捻出するために利用する融資を「住宅ローン」と呼びます。しかし、家づくりは一生に一度であることが多く、住宅ローンの仕組みや審査の内容について、初めての方には分かりにくい部分も多いのではないでしょうか。住宅ローンにおいて最適な状態で融資を受けるためには、金利タイプ、借入額、審査基準など、さまざまな要素が複雑に絡み合っているため、申し込む前に事前に知識を入れることが大切です。住宅ローンを理解せずに手続きを進めてしまうと住宅ローン選びに失敗してしまう可能性があり、返済計画に対し、入居後に大きな負担を感じることになるかもしれません。
本記事では、住宅ローンの仕組みをわかりやすく解説し、誰でも安心して住宅ローンを選べるようにサポートいたします。
住宅ローンを利用する際のポイントや注意点、審査における収入要件や借入可能額の決まり方、金利の種類(変動金利・固定金利)、各金利タイプのメリット・デメリットや、金利タイプの選び方のコツも解説します。固定金利と変動金利の違いや、それぞれのリスクを理解しておくことで、自分に合ったローン選びができるようになります。これにより、金利選びで迷わないだけでなく、長期的な返済計画をしっかりと立てられるます。
さらに、住宅ローンの審査に通るための準備も重要です。住宅ローンの審査では、年収や勤続年数、クレジットカードの利用履歴といったさまざまな項目をもとに審査をします。これらの項目がどのように審査に影響するのかを知ることで、審査通過の可能性を高めることができます。審査の際に注意すべきポイントや、ローン審査に失敗しやすいケースについても解説いたします。
「住宅ローンは難しい」「自分には向いていないのでは?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、しっかりと情報を得て準備を整えれば、誰でも安心して住宅ローンを組むことができます。住宅購入という人生の大きな選択を後悔しないためにも、住宅ローンの基本を理解し、安心して理想の住まいを手に入れるお手伝いをいたします。
この記事を通じて、住宅ローンに関する知識を深め、理想のライフスタイルの第一歩を踏み出しましょう!
住宅ローンのスケジュール
住宅ローンの流れは住宅購入と並行して進むため、住宅ローンのスケジュールを知る必要があります。ここでは、住宅ローンを利用する際の流れについて詳しく説明します。
■情報収集と事前相談
まずは、住宅ローンの情報を集めることから始めましょう。金融機関のホームページやローン相談窓口、住宅展示場でのセミナーなどを利用して、自分に適したローンの選択肢を見つけましょう。また、購入予定の土地や建築費用がおおかた決まっていると、より具体的なアドバイスを受けることができます。金融機関によっては、提携ローンなどの優遇措置を提案してくれる場合もあるので、比較検討を行いましょう。
仮に信頼できる住宅会社を見つけることができている場合は、その会社の住宅ローンに詳しい担当者に相談するのも良いでしょう。
住宅ローンの審査
住宅ローンの審査には、大きく分けて以下の2種類があります。
- 事前審査(仮審査)
- 本審査(正式審査)
- 実行前審査
まずは審査の種類を知りましょう。
①事前審査(仮審査)
住宅ローンを正式に申し込む前に、仮の審査を行うプロセスです。
申込者の年収、勤務年数、信用情報などをもとに、借り入れが可能かどうかの目安を確認します。
この審査を通過することで、新築・注文住宅の計画を進めることが可能になります。
②本審査(正式審査)
事前審査を通過した後に行われる詳細な審査です。新築・注文住宅の建築費用の融資を受けるためのより具体的な収入証明、健康状態、物件の担保価値などが精査されます。本審査が承認されると、住宅会社が現場をスタートし、建物の完成を待つことになります。建物が完成しますと設計図面通りに建築されていることを証明する『検査済証』が発行され、それを金融機関に提出することで住宅ローン契約を締結することができ、融資を実行することができます。
返済期間と月々の負担を考えたローン計画の立て方
住宅ローンの返済計画を立てるためには返済期間の設定と月々の負担額のバランスを取ることが重要になります。返済期間は最長で50年となりますが、長くなるほど月々の負担は軽くなる反面、金利を含めた総返済額は増加していきます。無理のない返済額を決めるポイントは収入に対する返済比率が30~35%以内に収まるようにすることが基本です。
月々の返済可能額を知るためには、まず現状の支出状況を把握しましょう。生活費や固定費、余暇に使う費用などを考慮し、無理のない範囲で返済に回せる額を算出します。この際、家族構成や今後のライフイベント(教育費やその他車などの購入費用)も視野に入れることが大切です。
また、パートナーの収入を合算することで融資額を増やすことも可能ですが、パートナーが働けなくなった時のリスクや、不況によるボーナスカットなどの収入減少を視野に入れ、あくまでメインの方の収入で無理のない返済ができるかを基本に計画を立てましょう。
短期間での繰り上げ返済や金利の見直しも検討しながら、長期にわたって負担を軽減できる返済計画を立てることがポイントです。
③実行前審査
表向きには事前審査と本審査の2種類が住宅ローン融資の審査項目としていますが、金融機関との契約や融資の実行は建物が完成した後になるため、それまでに申し込みをされた方の個人信用情報に良くない変化が起こってしまうと融資に影響が出てしまいます。そのため、金融機関は健康保険証などをもとに申込者の状況に変化がないかを確認する審査『実行前審査』を行います。
例えば、本審査後にお勤め先を退職し、別の企業へ転職をしてしまった場合、多くの民間金融機関の条件に該当しなくなるため、実行前審査時に確認をされ、再審査を受けることとなり、結果として融資を受けることができなくなります。
返済計画を立てる際の家計管理のポイント
住宅ローンを無理なく返済するためには、家計のバランスを保ちながら計画を立てることが大切です。以下のポイントを参考に、家計管理を見直してみましょう。
①毎月の支出を把握する
家計簿をつけて、生活費、固定費(光熱費、保険料など)、娯楽費などの毎月の支出の詳細を把握します。これにより、返済に回せる金額を正確に把握することができます。しかし、その際には毎月の支出を明確に知るためにレシートを保管していく必要があります。さらに、毎月変動する項目もありますので3ヶ月〜6ヶ月程度の領収書を保管し、しっかりと家計簿につけて把握することで、より正確な返済金額を算出することができます。
②予備費を確保する
住宅ローンの返済だけでなく、急な出費や将来のライフイベント(子供の教育費や車の購入など)にも備えるため、予備費を必ず確保しておきましょう。月々の収入の一部を定期的に貯蓄や積み立てとして別にしておくことが重要です。この予備費を計画に入れずに返済金額を算出してしまうと、入居後から始まる返済に対し、負担を感じてしまう可能性が高くなってしまうため注意してください。
③収支のバランスを保つ
収入に対する住宅ローンの返済比率が25%〜30%を超えないようにしましょう。家族のライフスタイルを考慮し、無理のない範囲で返済額を設定し、過度な負担を避けるようにしましょう。一般的に金融機関では年収500万円以上の場合、返済比率は35%とされていることが多いのですが、上限ギリギリの35%で返済額を設定してしまうと生活への負担はかなり大きなものとなってしまいます。将来的な支出(教育費や車の購入費、または住宅のメンテナンス費用など)をしっかりと積み立てられるように負担の少ない状態でバランスの良い返済金額を算出しましょう。
④支出の見直し
ローン返済を圧迫しないために、日常的な支出の見直しも大切です。光熱費、通信費、保険、娯楽費などを見直し、節約できる部分を探して家計に余裕を持たせることが可能です。この見直しには、毎月の家計簿を正確に記す必要があり、それによって効果的な支出の見直しを実行することができます。ご家族様と話し合い、皆が納得するライフスタイルになるようにすることが大切です。
⑤ 繰り上げ返済を計画する
家計に余裕が出てきたタイミングで繰り上げ返済を活用することも考慮しましょう。総返済額を減らし返済期間を短縮することで家計全体に余裕を持たせることができます。
事前審査の申し込み
住宅ローンの事前審査は、誰でも申し込みをすることができます。しかし、審査を通過するためにはいくつかの条件があり、その条件をクリアできる方が融資を受けることができるようになります。ここでは、事前審査を申し込み方と注意点について解説します。
■事前審査(仮審査)の申し込み
事前審査では、申し込みをされる方の収入や年齢、借入希望額、自己資金などの基本情報を基に、融資ができるかどうかを判断されることになります。事前審査は通常、申請から3日〜1週間程度で結果が通知されることが多く、事前審査を通過すると、土地の売買契約や建物の請負契約を進めることができるようになります。最近では、オンラインで事前審査を申し込める金融機関も増えているため、すでに住宅ローンの知識が豊富である方はネットから申し込みをしても良いでしょう。
■住宅ローンの事前審査を受けるタイミング
住宅ローンの事前審査を受けるタイミングは、できるだけ早めをおすすめします。特に、家を建てるためにどれだけの融資を受けられるかを把握することは、家づくりの計画において重要なことです。住宅会社は初回の相談で「住宅ローンの事前審査を受けませんか?」と提案することがあります。これは、住宅ローンの融資が可能かどうかを早い段階で知り、計画をスムーズに進めるためです。
事前審査を早めに行うことで、時間をかけて打ち合わせを行った後に融資が受けられないというリスクを減らすことができます。特に、打ち合わせやプランニングが進んでから融資が承認されないと、計画全体を白紙に戻さなければならない可能性があり、お客様にとっても住宅会社にとってもそれまでの時間が無駄になってしまいます。ただし、すべての住宅会社で事前審査を行う必要はありません。家づくりのパートナーとして信頼できると感じた住宅会社を選び、その会社と一緒に事前審査を進めるようにしましょう。これにより、家づくりの進行がより安心して行えることになります。
■土地購入時の事前審査
注文住宅の建物の審査だけでなく、土地を購入する際にも事前審査のタイミングは早めに行った方が今後の打ち合わせをスムーズに進めることができます。具体的には、物件探しや情報収集の段階で事前審査を行うことで、購入のチャンスを逃さないように準備を整えることができます。土地購入の一般的な流れは、「希望条件の整理→土地の情報収集→土地見学→買付証明書の提出→売買契約」と進みますが、買付証明書の提出の時点で事前審査の結果が出ていると良いでしょう。ただし、その場合、再度購入予定の土地で事前審査を申し込む必要があります。それでも買付証明書の提出の前に事前審査に通過しておくべき理由は、事前審査の結果を見て、建物と土地を購入するための総予算を把握し、建物・土地どちらにも予算が足らないなどといったことにならないようにするためです。
事前審査を申し込む前に注意すべきポイント
事前審査を申し込む前に、以下の3つのポイントを確認しておきましょう。
①審査基準をクリアすること
事前審査には、金融機関ごとに異なる基準がありますが、一般的には以下の審査基準があります。
年齢:20歳以上80歳未満の方が対象。
勤務先:安定した収入が見込める職場が有利。
勤続年数:民間の金融機関では原則1年以上の勤続年数が基準。
年収:一定の収入があり、借入希望額による返済の割合で算出。
借入状況:他に借り入れがある場合、その返済状況も審査対象となる。
また、団体信用生命保険に加入できる健康状態であることや、完済時の年齢が80歳未満であることも条件に含まれます。これらの基準を満たしていない場合、審査を受ける時期をずらすなどの対策が必要です。
②返済比率を確認する
返済比率とは、年収に対して住宅ローンの年間返済額を占める割合です。多くの金融機関では、返済比率を30~35%以内に設定しています。例えば、年収400万円の方の場合、年間返済額の上限は140万円(月約11.6万円)となります。この比率を超える場合、希望の融資額が減額される可能性があるため、他のローンの返済を先に済ませておくと良いでしょう。
③事前審査に必要な書類
事前審査の申し込みには、金融機関の窓口での対面申請と、インターネットでのオンライン申請の2つの方法があります。いずれの方法でも、以下の書類を揃える必要があります。
- 本人確認書類:運転免許証やパスポートなど。
- 収入証明書類:給与所得者は源泉徴収票、自営業の方は確定申告書などが必要。
- 物件に関する資料:購入予定物件(土地や建物)の設計図やチラシやパンフレットなど。
事前審査の結果は、通常3日~1週間程度で通知されますが、この間に新たな借り入れや転職をしないようにしましょう。これらの行動は審査に不利に働き、融資額の減額や審査の再申請が必要になります。そして再審査の結果、融資を受けられない可能性が高くなりますので注意しましょう。
事前審査後のスケジュール
次に事前審査後のスケジュールについて解説します。
■土地購入時の売買契約と本審査の申し込み
事前審査に通過した後、土地購入の場合は売買契約を結びます。この際、売買契約書のほかに、重要事項説明書や資金計画書などが準備されます。契約が完了しましたら本審査の申請に進みます。本審査では、より詳細な情報を基に融資可否の判断が行われ、事前審査よりも審査が厳しくなります。必要書類には、収入証明書(源泉徴収票や課税証明書)、住民票、売買契約書の写しなどが含まれ、提出後、審査結果が通知されるまでに1〜2週間程度かかることが一般的です。
■金銭消費貸借契約(ローン契約)
本審査に通過したら、次に金融機関と金銭消費貸借契約を結びます。この契約を結ぶことで、正式に住宅ローンの融資の実行が確定します。契約時には、住宅ローンの金利や返済期間、返済方法が確定され、同時に担保となる物件に対して抵当権が設定されます。また、団体信用生命保険(団信)への加入もこのタイミングで行われるのが一般的です。金銭消費貸借契約には実印が必要で、金融機関の店舗で行われることが多いため、事前に日程を調整しておきましょう。
団体信用生命保険(団信)の選び方
団体信用生命保険(以下、団信)は住宅ローンの返済中に契約者が万一の事態に遭遇した際、残りのローンを保険金によって完済される仕組みの保険です。適切な団信を選ぶことでご家族様の生活を守りつつ安心して住宅ローンの融資を受けることができます。団信の選び方にはいくつかのポイントがあります。
①カバーするリスクの範囲
団信には、一般的な死亡・高度障害保障だけでなく、三大疾病(がん、脳卒中、心筋梗塞)や、特定の疾病をカバーするものがあります。自分の健康状態や家族の状況を考慮して、どのリスクをカバーしたいかを検討しましょう。
②保険料の負担
団信の保険料は金融機関によって異なり、ローンの金利に含めて支払うといった選択肢もあります。特定のリスクを追加の特約でカバーする団信を選ぶことで、その保険料を金利に上乗せすることになりますので総支払額の影響を確認してから選択するようにしましょう。
③健康状態に応じた選択
団信に加入するためには、健康状態の申告が必須になります。持病がある場合や過去に病歴がある方は、告知内容に緩和措置がある保険商品を選ぶことも可能です。
④保険金の支払い条件
団信によって、保険金が支払われる条件が異なります。たとえば三大疾病保障では一定期間以上の入院や手術が必要とされる場合もありますので加入前に条件を確認するようにしましょう。
⑤更新のタイミングや選択肢の比較
住宅ローン返済期間中に団信を見直したり変更できるタイミングがあります。通常の生命保険と同様に、定期的に保険の内容を確認し、ライフスタイルや健康状態の変化に応じて最適な団信を選び直すことが大切です。
■融資実行と残金決済
契約が完了すると、融資実行が行われます。融資実行とは、住宅ローンの借入金が申込者の指定口座に振り込まれることで、物件の売買代金の支払いに充てられます。融資実行と物件の引渡しは同日に行われることが多く、このタイミングで物件の所有権が正式に購入者に移ります。また、物件の所有権移転登記や抵当権の設定登記も同時に行われ、司法書士がこれらの手続きを代行することが一般的です。
■返済開始
融資実行後、翌月もしくは翌々月から住宅ローンの返済が開始されます。返済は毎月の定められた日に、指定した銀行口座からの自動引き落としで行われます。返済が長期間滞ると、金融機関によって任意売却や競売の手続きが開始されることがありますので、返済計画を無理のない範囲で立て、定期的に口座の残高を確認しておくことが大切です。また、返済開始後は繰り上げ返済なども視野に入れ、総返済額の減額を目指すことも検討してみてください。
注文住宅の計画を進めるための住宅ローン手続きの注意点
注文住宅を建てる際、住宅ローンの手続きをスムーズに進めるためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。これらの注意点を理解しておくことで注文住宅の建築工程がよりスムーズに進むこととなり、予期せぬトラブルを未然に防ぐことができます。
①プランニングと並行して住宅ローンを検討する
注文住宅を建てる際には、プランの決定と並行して住宅ローンの情報収集を行うことが大切です。建物のプランが決まってからローンの手続きを始めると、選択肢が限られ、資金計画に余裕がなくなる、もしくは建築費用が高額になり融資金額が足らず、計画が成り立たなくなる可能性があります。
注文住宅では、土地と建物を同時に進めるケースが多く、場合によっては「つなぎ融資」が必要となる場合もあります。
注文住宅による住宅ローンの融資は、建売住宅や中古住宅や土地のようにすでに担保価値のある物件を購入するのとは違い、建物が完成した後に融資を実行するという特徴があります。建物を施工する住宅会社には、一般的に着工時、上棟時、中間時、完成時と4つの段階に分けて支払いが発生するため、そのタイミングで支払い分のお金を準備しておく必要があります。しかし、支払いを4回に分断しているとはいえ、建築費用は高額であることから現金で用意することができる方は多くありません。そこでつなぎ融資を活用し、融資実行前の支払い分を別の金融機関から融資を受けて支払いをしていくこととなるのです。この場合、審査を通過していることを担保につなぎ融資を借りることになるのですが、建物が完成するまでの3〜4ヶ月間に発生する利息を念頭に入れておく必要があります。
②必要書類を早めに準備する
注文住宅の場合、建築前にさまざまな書類の提出が求められます。特に本審査では、建築請負契約書や建物の設計図、収入証明書、住民票、納税証明書などが必要になります。金融機関から書類を求められてすぐに準備できないものをあるため、金融機関とのやりとりやスケジュールに関しては、住宅会社と連携して進めていくことをおすすめします。
また、収入証明書として必要な源泉徴収票や納税証明書は、各自治体で発行されるタイミングが限られています。発行に時間がかかることもあるため、年度ごとに最新のものを用意しておきましょう。
③金利や手数料を慎重に確認する
住宅ローンでは、金利や手数料の違いが総返済額に大きく影響します。たとえば、同じ融資額でも、固定金利と変動金利の選択、あるいは短期固定を選ぶかによって、金利が変わってくるので最終的な返済額に大きな違いが生まれます。注文住宅を建てる場合、長期的な視点での返済計画が必要ですので、自分のライフスタイルに合った金利プランを選びましょう。
また、融資手数料や団体信用生命保険料、火災保険料なども金融機関によって費用が異なりますので、これらのコストを事前に確認して最適な金融機関を選択するようにしましょう。
④融資実行後の返済計画の見直し
融資実行後の返済は、家計の大きな支出になります。建築費用はとても高額になるため、入居後から返済計画を見直していくことが大切です。
見直しの方法には、以下の方法があります。
- 繰り上げ返済を視野に入れること
- 住宅ローンを借り換えること
繰り上げ返済とは、毎月の返済とは違い、まとまった金額を一括返済する方法です。例えば、入居後に毎月の支出を見直し、ライフスタイルを調整して返済に余裕を持たせることができ、1年後に100万円の貯金ができたとします。その100万円を繰り上げ返済することで、返済期間が短くなる、もしくは金利タイプの選択の際に返済額が低くなるといったことが起こります。
次に住宅ローンの借り換えについてですが、これは住宅ローンの融資を別の金融機関から新たに融資を受け、現状の金融機関への残債を完済する方法です。新しく融資を受ける金融機関の方が金利や手数料などを比較した時にメリットが出る場合にこの方法を取ります。借り換えの最適な時期は入居から5年後以降になります。これは融資を実行されてから5年間、一度も遅延・遅滞のない状態の方は金融機関からすると優良なお客様と判断されるため、金利や審査に有利な状態で借り換えを行うことができるからです。
住宅ローンの借り換えとは?
住宅ローンの借り換えとは、現在利用している住宅ローンを他の金融機関の新しい条件のローンに切り替えることです。借り換えを行う主な理由は、金利の低下による返済額の削減や、返済期間の短縮、月々の返済額を見直すなどのメリットがあります。低金利のローンに借り換えることで、毎月の返済額を減らし、総返済額を削減できる可能性がある一方で、手続きにかかる諸費用や新たな審査が必要となります。
■借り換えのメリット
①金利の低下による返済額の減少
借り換えによって、現在の金利よりも低い金利のローンを選べる場合があります。これにより、毎月の返済額が減少し、総返済額も大幅に削減される可能性があります。
②返済期間の短縮
借り換えによって返済期間を短縮することができる場合もあります。例えば、金利が低下したことで余裕が生まれた分を元本の返済分に充て(繰上返済)、返済期間を短縮することができます。
③返済プランの変更
金利タイプを固定金利から変動金利、もしくはその逆に変更することができます。経済状況やご自身のライフスタイルに合ったプランを選び直すことができます。
④返済期間の延長
住宅ローンの返済期間は50年まで選択することができます。お仕事の状況によって収入が減少してしまい、返済に対する負担が大きくなってしまった場合、仮に以前35年返済を選択していたとしたら、借り換えを行うことで返済期間を15年延ばすことが可能となり返済額を下げることができます。
■借り換えのリスク
① 諸費用の発生
借り換えを行う際には、手数料、保証料、登記費用、事務手数料など、新たに支払う諸費用が発生します。これらのコストが高額になる場合、借り換えのメリットを相殺してしまう可能性があります。
②金利の変動リスク
金利タイプを変動金利型に借り換えた場合、将来的な金利上昇によって返済額が増加するリスクがあります。特に長期にわたる借り換えの場合、金利の予測が難しいため変動金利を選択する場合はしっかりと返済計画を立てましょう。
③審査の厳格化
借り換えを行う際にも、新たな審査が行われます。以前よりも収入が減少している、または借り入れ状況に変化がある場合、審査に通過できないリスクもあります。しかし、当初借入をした住宅ローンの返済に遅延や延滞のような事態がなければ、それまでしっかりと返済を行なっているという信用実績があるため、以前よりも良い待遇で融資を受けることができる可能性があります。
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著者プロフィール
中島 盛夫
株式会社盛匠代表取締役[保有資格:二級建築士、宅地建物取引士]
大工としてひたむきに走り続けていた26歳のある日、お客様の娘様から頂いた現場での一言、 「良い家を作ってくれてありがとう」その言葉に建築への想いが膨らんでいく気持ちに気づいた私は、 「家づくりの最初から最後まで、じっくりをお客様と対話して、一生のお付き合いがしたい」と感じ、SEISYOを立ち上げました。